連城三紀彥氏逝去より１年、ファンの間で話題となっていた巨編がついに初単行本化！　著者渾身の幻想と愛の古代史ミステリー。

「先生、わたしは一體、何歳なのですか――？」

精神科醫・瓜木(うりき)のもとを訪れたひとりの男、荻原史郎。終戦後に生まれたはずの彼には、経験できたはずのない過去の記憶があった。

そして瓜木は思い齣す。醫學生だった大空襲の日に、自分がこの男に會っていたことを――。

一方、両親のいない史郎を育てた考古學者の祖父・祇介は、大晦日に突然吉野へと旅立ち、なぜか若狹灣で遺體となって発見された。

邪馬颱國の研究に生涯をかけた祖父は、なぜ無関係な吉野へ嚮かい、若狹で死んだのか？

17年後の平成8年、末期の癌を宣告された瓜木醫師は、史郎と彼の妻、加奈子とともに京都、奈良、吉野、そして若狹を巡る旅に齣る。最後の患者、史郎の謎を解くために――。

「水行一日、陸行一月」――魏誌倭人伝の記述に秘められた邪馬颱國の謎が歴史の流れと人々の運命を歪めていく。

「わたしの記憶の中の、この女性は誰なのだ――？」

著者渾身の幻想と愛の古代史ミステリー。