贈與は人間の営む社會・文化で常に見られるものだが、とりわけ日本は先進諸國の中でも贈答儀禮をよく保存している社會として研究者から注目を集めてきた。その歴史は中世までさかのぼり、同時に、この時代の贈與慣行は世界的にも類を見ない極端に功利的な性質を帯びる。損得の釣り閤いを重視し、一年中贈り物が飛び交う中世人の精神を探り、義理や虛禮、賄賂といった負のイメージを纏い続ける贈與の源泉を繙く。

［文學賞情報］

2013年 第10迴 角川財団學蕓賞受賞

2012年 第10迴 角川財団學蕓賞受賞

桜井　英治 (サクライ　エイジ)

１９６１年茨城県生まれ。東京大學文學部卒業、同大學院人文科學研究科博士課程単位取得退學。博士（文學）。北海道大學助教授を経て、東京大學大學院総閤文化研究科準教授。専攻は日本中世史、流通経済史（本データはこの書籍が刊行された當時に掲載されていたものです）